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2010 SUPER GT 第4戦 MALAYSIA大会参加報告書

■ 株式会社モーラ 代表取締役 花輪 幸夫

拝啓

  時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。平素より、格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。

  さて、さる6月19-20日にマレーシアにあるセパン・インターナショナル・サーキットにて2010 SUPER GTの第4戦である“SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIA”が開催されましたので以下、その模様をご報告申し上げます。 ご査収の程、よろしくお願いいたします。

                                                    敬具

■ 2010 SUPER GT 第4戦 参加に際して

開幕戦2位と第2戦の優勝で70Kgのウエィトハンディで望んだ第3戦の富士ラウンドでノーポイントに終わった#46 アップスタート・MOLA Zは前大会同様の70Kgのまま第4戦に臨んだ。

シリーズランキングトップでありながらも前大会をノーポイントで終えてしまった我々の今大会の最大の課題は1ポイントでも多くポイントを獲得してレースを終えて、何としてもシリーズランキングトップのまま日本に帰国する事であった。 その為に車両側にも細かい空力パーツが導入され、暑いマレーシアの戦いに備えエアコンシステムは当然のごとく搭載されマレーシアに送り込まれた。

また、我々の持ち味でもあるピットワークに対しても道具に改良を施され、日本にいる間に各メカニックの意識向上も心がけられた。 そして一番大切な強靭なチームワークを崩さないためにも監督を始めドライバー、そして全スタッフを交えてマレーシアに入ってからも綿密なミーティングが行われて第4戦に臨んだ。

■6月19日(土)公式練習 10:00-11:45

1時間45分で行われた公式練習。気温は早くも30℃にまであがり、セパン独特のじめじめした高温多湿の状況であった。

10:00に信号が青に変わってすぐに横溝選手での車両およびコースコンディションの確認をかねてコースイン。一周でピットに戻る。路面がまだ出来ていなく、他車のラップタイムも全然であったために、早く走りたい気持ちを押さえてモニターで他車のタイム状況を確認しながら横溝選手は待機した。2分12秒台のタイム出てきたのを確認して再び横溝選手はコースイン。持ち込んだセッティングの確認をしながら2:12.744をマークしてピットに戻る。

いくつかのセッティングテストをこなし、バランスが良くなってきたところで阿部選手に交代。阿部選手はこのセパンサーキットの走行経験がまだ少なく、まずはコース確認をしながらいくつかのセッティングメニューをこなし中古タイヤながら2:13.943をマークしたところで再び横溝選手に交代。タイヤを交換して2:12.140のタイムをマークして公式練習を終えた。

公式練習の結果は前戦から好調の#66 triple a Vantageが2:10.714でトップタイムをマーク。2番手に#7 AMEMIYA RX-7が2:10.756。3番手に#3 HASEMI Zが2:10.798と僅差でひしめき合う中、#46 アップスタート・MOLA Zは2:12.140で11番手となった。

■6月19日(土)公式予選 14:15-14:30(混走) 14:30-14:45(GT300)

14時15分から始まった公式予選。今回もスーパーラップ方式のため、スーパーラップに進出できる上位8台の枠を賭けての予選アタックとなった。 まずは混走の時間帯に阿部選手が早々と2:12.670をマークして予選通過基準タイムをクリアするとピットに戻り横溝選手に交代する。車両のバランスはインターバルで施されたセットチェンジによって随分良くなっていつものフィーリングに戻りつつあるとピットに戻った阿部選手からコメントを受け、横溝選手はGT300の時間帯まで待機する事にした。

GT300占有の時間帯となった。スーパーラップへの進出を賭けて一斉にGT300車両がポツポツとコースインしていく中、真っ先にコースインした横溝選手であった。計測2LAP目、2:11.160のタイムを出してピットに戻る。すばやくタイヤをもう1セットに交換され再びコースイン。2;11.082とタイムを更新して横溝選手はチェッカーを受けた。

公式予選の結果は#7 AMEMIYA RX-7 が2:09.586のトップタイムでスーパーラップ進出を決めた。 2番手に#11 JIMGAINER が2:09.586、3番手に#19 Weds Sport IS350が2:09.974。 #46 アップスタート・MOLA Zは遅い車両にブロックされながらも横溝選手が2:11.082と、本日のベストタイムを出しながらも11番手となり、スーパーラップ進出を逃した。

スーパーラップ 15:30- スーパーラップの結果は2:09.167で#11 JIMGAINERが今期初ポールポジションを獲得。 セクター3までトップタイムだったが最終コーナーでミスをしてしまった#7 AMEMIYA RX-7が2:09.491で2番手。 3番手に2:09.711で#33 HANKOOK PORSCHEとなった。

■ 6月20日(日)フリー走行 10:45-11:15 サーキットサファリ

決勝日の朝10時45分から30分間で行われるフリー走行。天候は晴天で気温も32℃と前日の気温を上回るくらいの暑さの中行われた。

この30分間でレースのシミュレーションを踏まえて中古タイヤで燃料を多く搭載した状態で、まずは阿部選手からコースイン。早い段階からアタックに入り計測2LAP目に2:12.287をマーク。レースでのタイヤのライフを想定して速いラップでコンスタントに周回を重ねた後に横溝選手に代わりこの際レースのピットワークシミュレーションもこなした。

タイヤは継続でありながらも横溝選手は1LAP目から2分11秒台での走行。3LAP目には2:11.353にまでタイムを上げ、車両のバランスも良くなってきている事を裏付けていた。

その後行われたサーキットサファリの時間帯も、タイヤの摩耗状況の確認のためとレース用のブレーキの焼き入れのために横溝選手で走行を続け朝の走行は終了となった。

フリー走行の結果はトラブルにより昨日の予選の走行が出来なかった#2 紫電が2:10.086でトップタイムをマーク。2番手に相変わらずの好調ぶりを見せる#7 AMEMIYA RX-7が2:11.053。ポールポジションを獲得した#11 JIMGAINERが2:11.077で3番手。#46 アップスタート・MOLA Zは2:11.353で7番手のタイムとなった。

■ 決勝レース 16:00- 54LAP

熱射病対策として日中を避けて午後4時スタートとされた第4戦マレーシアであったが、午後4時の時点で一面青空の晴天により気温34℃、路面温度41℃にまで上がったコンディションの中54LAP 300Kmで決勝レースは行われた。

朝のフリー走行でいい感触をつかむ事が出来た我々の#46 アップスタート・MOLA Zは更なる微調整をレーススタートまでに行い、絶対にシリーズポイントリーダーで日本に帰国する意思をチーム員全員で確かめ合いレースにのぞんだ。

今回の我々MOLA チームの作戦として、セパンのレース経験がない阿部選手をスタートドライバーに起用して団子状態になるであろう前半スティントを集団から離れる事無く走行させ、得意のピットワークで前に出て、各車バラけるであろう後半スティントを横溝選手がクリアなコース上でプッシュするというレースシミュレーションを立てていた。

今期始めてのスタートを担当する阿部選手はプレッシャーを感じながらも落ち着いてスタートのイメージをしていた。また、多少今までとは違う暑さに戸惑いを見せる阿部選手ではあったが逆に暑さが気持ちいいかのようにグリッド上でもリラックスしている様子であった。

フォーメーションラップがスタートして阿部選手はタイヤに熱を入れるべく右に左に車両を揺すりながら1周した後16時00分SUPER GT INTER NATIONAL SERIES MALAYSIAのスタートが切られた。

11番手からのスタートを切った#46 アップスタート・MOLA Zはスタートで直線スピードが速い車両にかわされポジションを12番手に落とすも1コーナーで起こった#5と#19のクラッシュの混乱に巻き込まれる事無く1周目を9番手で戻ってきた。レースは3周目には3番手スタートだった#33 HANKOOK PORSCHEが早くもトップに立ちさらに2番手との差を広げに入っている。

#46 アップスタート・MOLA Zは#31 EVANGELION COROLLAと最後尾スタートだった#2 紫電にかわされ11番手、さらに4LAP目には#86 JLOC RG-3 にもかわされ12番手にポジションを下げ、辛いポジションでのレース序盤の戦いとなった。

8LAP目、#66 triple aVantageにジャンプスタートの判定が下され、ドライブスルーペナルティーが科せられる事で#46 アップスタート・MOLA Zはポジションを11番手に戻すもその直後に#27 NAC EISEICOMにかわされ12番手にポジションを戻す。

そのままレースは進みポールポジションスタートだった#11 JIM GAINERがラップタイムを大幅に落とし、16LAPで真っ先にピットイン。これにより#46 アップスタート・MOLA Zのポジションは11番手に。

先頭で逃げる形かと思われた#33 HANKOOK PORSCHEだったがこちらもタイムを大幅に落として15LAP目に#7 AMEMIYA RX-7にトップを奪われる。逆に今度は#7 AMEMIYA RX-7が2分11秒台の走行で後続を引き離しにかかった。

19LAP目に5番手争いをしていた#43 Garaiyaと#2 紫電がクラッシュ。2台ともレースに復帰するがポジションを落とす形になり#43 Garaiyaはそのままピットに戻ってくる。これでまたポジションを上げる#46 アップスタート・MOLA Zかと思われたがその後#66 triple a Vantageと#19 WedsSportにかわされて再びポジションは11番手。

その後もペースが上がらずにいた阿部選手ではあったが予定通りの25LAPでピットイン。ドライバーは横溝選手の変わり給油、タイヤ交換を済ませて25秒という早いタイムでピットアウトさせた。

GT300勢の中では早い段階のピットインではっきりとは自車のポジションがわかってはいない横溝選手ではあったが、アウトラップから予定通りプッシュする。が、思っていたようにはタイムを上げる事が出来ずにいた。路面状況が朝のフリー走行時とはガラッと変わってしまっていた。

25LAPを超えた辺りからGT300車両が続々とピットインを行いはじめた。この他車のピットインのタイミングで#46 アップスタート・MOLA Zは10番手に浮上。31LAP目にすでにピットインを済ませている#3

 HASEMI Zがタイヤのトラブルで再びピットイン。これで#46 アップスタート・MOLA Zはさらに9番手にポジションを上げた。34LAP目に#31 EVANGELION COROLLAがピットイン。これはルーティーンピットであったが同時にピットに入ってきた#2 紫電はピットでエンジンがかからずにそのままリタイヤになる。これで#46 アップスタート・MOLA Zのポジションは7番手。

横溝選手は第1スティントとは変わって混雑する集団の中ではなく前車とも後車とも間隔の広く開いた状態でのレースではあったがタイヤの状況は思いのほか厳しくなり、やはりラップタイムは上げられずにいた。

38LAP目、すでにピット作業を済ませている#66 triple a Vantageのラップタイムが急激に落ち始め再びピットイン。これで#46 アップスタート・MOLA Zのポジションは6番手に上がる。

40LAP目、トップは#7 AMEMIYA RX-7が2分12秒から11秒のタイムで完全に逃げに入りその後方2番手争いを行っていた#33 HANKOOK PORSCHEと#74 COROLLA Axioがストレートで接触。#33 HANKOOK PORSCHEはそのままリタイヤ。#74 COROLLA Axioはのちにドライブスルーペナルティーを受け順位を下げる。これにより#46 アップスタート・MOLA Zの順位は5番手にまで上がった。

しかし、横溝選手のペースは13秒台をキープするのがやっとの状態であったが後方6番手走行中の#31 EVANGELION COROLLAが12秒台でみるみる近づいてきている。43ALP目にはまさにテールトゥノーズ状態にまで近づかれてしまっていたが、横溝選手も懸命にブロックしていた。

矢先に#31 EVANGELION COROLLA は自らのスピンによりポジションを後退。これで6番手に浮上してきたのは#3 HASEMI Z。この#3 HASEMI Zはなんと2分11秒台で追い上げてきていた。レースも残り2LAPとなり両車の間隔は2秒、横溝選手は最後の力を振り絞るかのように懸命に5番手というポジションを死守しようとしていた。

そして残り1LAP。ストレートをテールトゥノーズで駆け抜ける#46 アップスタート・MOLA Zと#3 HASEMI Z。なんとか懸命にブロックしていた横溝選手ではあったが最終ラップにかわされ#3 HASEMI Zの後ろの6番手で#46 アップスタート・MOLA Zはチェッカーを受けた。

SUPER GT Round4  SUPER GT INTERNATIONAL SERIES MALAYSIAのレース結果はレース序盤からトップを快走した#7 AMEMIYA RX-7が40Kgのウエィトハンディを克服して今期2勝目。RX-7にとってセパンサーキットでの優勝はなんとこれで5勝目となった。

2番手には途中クラッシュにより緊急ピットインを行いながらも周りのトラブルなどにも助けられた#43 Garaiyaが第3戦に続いて連続の2番手を獲得。 3番手には2番手を走行しながらもドライブスルーペナルティーにより順位を下げる形となった#74 COROLLA Axioとなった。

我々#46 アップスタート・MOLA Zは厳しいレース内容ではあったが、トラブル、そして周りの車両のクラッシュや混乱にも巻き込まれる事無くレースを戦い抜き、6番手という結果を出すことができたが#7 AMEMIYA RX-7が2勝目を挙げた事によりドライバーポイントランキングは同点ながら優勝回数により2位になってしまった。

レースに向けて掲げていたシリーズランキングトップのまま日本に帰国するという目標は達成できなかったがチームランキングはトップを守り切る事ができた。

今回のレースを振り返ってこのGTシリーズでポイントを毎戦取り続ける難しさを痛感すると同時に次戦の菅生ラウンドでは更なる多得点を獲得する決意を監督、ドライバー、そしてスタッフ全員がレース終了直後に自然と頭に思い浮かべていた。

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