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2010 AUTOBACS SUPER GT 第1戦 SUZUKA GT 300km RACE 報告

■ 2010 SUPER GT 参加に際して。

SUPER GT 2010シーズンは鈴鹿サーキットにて開幕を迎えることとなった。 チーム名をMOLAとして参加する46号車のカラーリングは2008年度のチャンピオンを獲得した年のカラーリングにされ、車名はアップスタート・MOLA Zとされた。

ドライバーは2007年度に我がチームでドライブをして、その後GT500でも優勝経験をした横溝直輝が我がチームに復帰。そして新たにGT300での優勝経験を持つ阿部翼が加入した。

また監督には長年我がチームのチーフエンジニアを務めている大駅俊臣が監督/チーフエンジニアを兼任。横溝 / 阿部 両ドライバーと共にシリーズチャンピオンを獲得するべくチームの指揮をとっていく事になった。

その他のスタッフに変動はなく、高いチーム力を維持したままの万全な体制を構築する事ができた。 すでに3月5-6日のGT合同テストには参加しており、晴れたり雨が降ったりの落ち着かないコンディションの中、ベースセッティングは見つける事ができていたためにそこから大きなセッティング変更をすることはなく開幕戦に持ち込まれた。

また、横溝、阿部 両ドライバー共車両に慣れるのにそれほど時間はかからずにテストをこなすことができていた。

■3月20日(土)公式練習/公式予選

本年より、土曜日午前中の練習走行時間が昨年の1時間45分から2時間40分と長くなったが使用できるタイヤの本数は昨年と同様のため、テストメニューをきちんと組み、的確にメニューをこなしていく事が必要となった。

まずは横溝直輝選手がコースの状況を確認するためにコースイン。アウトインでピットに戻る。まだタイムが出るコースコンディションではないためにしばらくピットで待機しながら他車のタイムをモニターで確認していた。

9時38分再びコースインした横溝選手は4LAP目に2:06.953をマーク。その後いくつかのセット変更をテストして阿部翼選手に代わりセット変更された車両の確認を行った。その後11時46分にNew Tyreを装着してコースインした阿部選手は2:07.436をマークして練習走行を終えた。

公式練習の結果は#5 マッハGOGOGO車検408R 黒澤選手が2:05.574でトップ。この車両はVEMAC408Rにポルシェエンジンを搭載した今年新登場の車両でもあり、いきなり速さを見せ付けられた。

2番手に#2 アップル・K-ONE 紫電が2:06.011。3番手に#43 ARTAガライヤが2:06.020。我々#46 アップスタート・MOLA Zは横溝選手がマークした2:06.953で7番手に終わった。

13時15分から行われた公式予選1回目。今大会の公式予選2回目はノックダウン方式になっているため事実上公式予選1回目は両ドライバーの予選通過基準タイムをクリアするためのセッションでもあった。

まず横溝選手が中古タイヤながら2:07.812というタイムを出して予選通過。続いて阿部選手がそのまま継続のタイヤで2:09.268のタイムを出し5番手で予選2回目のノックダウンへの進出を決めた。

15時00分から行われたノックダウン方式の公式予選2回目。まずは10分間で行われるセッション1で上位16台がセッション2に進出できる事になっている。セッション1を担当したのは阿部選手。New Tyreを装着して他車との間合いを取る為に若干間隔を明けてコースインした阿部選手は2:06.546というタイムを叩き出しセッション2への進出を決めた。

15時30分から10分間で行われたノックダウンのセッション2を担当したのは横溝選手。このセッション2で上位10台が最後のセッション3への進出が許される事になっている。横溝選手は同じくNew Tyreを装着して間隔を明けながらコースインして2:06.333を叩き出しセッション3への進出を決めた。

16時05分から行われたノックダウンのセッション3。これがノックダウン最後のセッションでありこのセッション3は阿部選手の手に委ねられた。New Tyreを装着して待つ阿部選手は少し早めにコースイン。計測2LAP目に2:05.827の3番手のタイムを叩き出し、ラスト1周のアタックに入っていった。セクタータイムをスタッフ全員が見ている中セクター1、セクター2と更に自己ベストを更新していく阿部選手ではあったが、スプーンカーブで痛恨のスピンをしてしまい公式予選を終えた。

公式予選の結果は#7 M7 MUTIARA MOTORS 雨宮SGC 7が2:05.391で開幕のポールポジションを獲得。#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430 が2:05.599で2番手。我々#46 アップスタート・MOLA Zはセッション3で阿部選手がスピンをする前にマークした2:05.827のタイムで予選3番手を獲得した。セクター1、セクター2とタイムを更新していた事からスプーンカーブでのスピンがなければどれくらいのタイムが出ていたのか・・・と悔やまれる声が聞こえた。

■ 3月21日(日)フリー走行

決勝日の朝8時30分から45分間で行われるフリー走行。天気は曇りではあるが前夜から降り続いていた雨がコース上に残りコースコンディションはウエット状態で始められた。

しかも黄砂の襲来が激しく、サーキット全体の視界は薄く煙った感じになっていた。コースコンディションはあまり良くない中まずは横溝選手がウエットタイヤを装着してコースインした。全車ウエットタイヤで走行を重ねているために計測1周したところで早くも路面が乾き始め横溝選手から無線でドライタイヤに交換したいとの要望が入る。

中古のドライタイヤにすばやく交換され、再びコースに戻った横溝選手はまだ悪い路面状況の中、中古タイヤでレースに向けての車両バランスを確認。コースコンディションがほぼドライになり2:10.704のタイムを出したところで阿部選手に交代した。

阿部選手も同様に中古タイヤでレースに向けての車両バランスを確認しながら2:08.127のタイムを出したあと同じコースコンディションの中での車両バランスの確認に再び横溝選手に交代。2:09.259のタイムを出したところで決勝日の朝のフリー走行を終えた。

■ 決勝レース

天候は曇り、気温14℃、路面温度19℃というコンディションの中52LAP 300Kmで決勝レースは行われた。

開幕戦のスタートを担当する阿部選手は3番手というスタートポジションに笑顔を見せる反面時折緊張の表情を見せていた。相変わらず黄砂の襲来が激しく、また、時折雨がポツポツと落ちてくるなどコンディションはけしていいとは言えない中フォーメイションラップがスタートした。

雨の影響でコースが滑りやすくなっている事を無線で告げられながらも阿部選手はタイヤに熱を入れるべく右に左に車両を揺すりながら1周した後14時00分SUZUKA GT 300Kmのスタートが切られた。

3番手からのスタートを切った#46 アップスタート・MOLA Zであったが1コーナーで4番手スタートの#43 ARTA ガライヤに交わされ4番手に交代。しかし、デグナーカーブでトップを走っていた#7 雨宮 SGC 7がオーバーラン。

その直後デグナーカーブ出口で#43 ARTA ガライヤが単独スピン。そこに#2 紫電と#31 apr COROLLAが追突していく形で激しくクラッシュ。この3台はここでリタイヤすることになった。これでトップは#11 JIMGAINER F430、続いて#46 アップスタート・MOLA Zが2番手でストレートを通過。しかし12番手スタートだった#33 HANKOOK PORSCHE が路面状況の悪い中驚異的な追い上げを見せて1周目で5番手までポジションを上げていた。

2周目に入った1コーナーで2番手だった#46 アップスタート・MOLA Zは滑りやすくなっていた路面に足をとられオーバーラン。すぐにコース復帰したがこれで6番手まで順位を下げてしまった。

勢いがある#33 HANKOOK PORSCHEは3周目にはトップに立ち以下#11 #86 #3 #7 で6番手に#46 アップスタート・MOLA Zの順で10LAPを過ぎた。

11LAP目ストレートでGT500車両3台が接触し、うち2台がそのままクラッシュパッドに激突する激しいクラッシュが発生。火災も起こっていることからセーフティーカーが導入された。セーフティーカー・ランは14LAP目まで続き15LAP目にリスタートが切られた。

ここで#3 HASEMI Zが動いた。リスタートと同時にPITに入り、タイヤ交換、給油、ドライバー交代を済ませてコースに復帰した。これで#46 アップスタート・MOLA Zは5番手に順位を上げる形となったがその周後ろを走行していた#27 LMP Ferrariに交わされて6番手に順位を戻してしまった。

しかし後にこの#27 LMP Ferrariの追い越しは黄旗区間での追い越しと判定されドライブスルーペナルティーを科せられる事になる。その後2番手を走行中の#11 JIMGAINER F430が21LAPでPIT作業に、22LAPに#27 LMP Ferrariがドライブスルーペナルティを受け#46 アップスタート・MOLA Zは4番手の走行になったが前車との間隔が詰まりペースが上げられなくなっていた事とGT500の集団が後方から迫っていた事から23LAPでPITに入れる事にした。

タイヤを4本交換して給油を済ませドライバーは阿部選手から横溝選手へと交代し、トータル23秒という早い作業時間でコースへと復帰させたポジションは8番手であった。

しかし、前を走行している車両はまだピット作業が終わっていない車両ばかりで、24LAPで#27が、25LAPで#7 #86 #26 #62が、26LAPで#87がピット作業を終えた27LAP目にはまだピット作業を終えていない#33 HANKOOK PORSCHEがトップ、2番手に#7 雨宮 SGC 7、3番手に#46 アップスタート・MOLA Zの順になっていた。

まだピット作業を終えていない#33 HANKOOK PORSCHEが独走に見える中#46 アップスタート・MOLA Zの横溝選手はタイヤを労わりながらも前を走行している#7 雨宮 SGC 7を追いかけていた。

トップを走行していた#33 HANKOOK PORSCHEは34LAPまで走行を引っ張りピットイン。リヤタイヤ交換と給油とドライバー交代を済ませたが作業に手間取り#46 アップスタート・MOLA Zの後ろでコースイン。これで#46 アップスタート・MOLA Zは2番手に浮上した。

トップの#7 雨宮 SGC 7との差は約18秒。しかし、横溝選手は諦める事無く前を見ていた。なぜならピット作業でタイヤを4本交換した#46 アップスタート・MOLA Zに対してトップを走行している#7 雨宮 SGC 7はピット作業時間を短縮するためにタイヤを交換していないからである。

3番手を走行している#19 ウェッズスポーツIS350との差も約15秒開いていたために単独走行のようなレース展開ではあったが横溝選手は見えないトップの車両にいつか追いつく事を信じて追いかけ続けていた。

しかし、順位に変動はないままGT300クラスは48LAPでチェッカーが出された。 2010年度のSUPER GT開幕戦の優勝はタイヤ無交換作戦が見事に成功した#7 雨宮 SGC 7が2008年の開幕戦以来の優勝。

序盤にコースアウトはしてしまったものの安定したラップタイムとピット作業のタイミング、早さで2番手を手に入れた#46 アップスタート・MOLA Z。3番手には#19 ウェッズスポーツ IS350が入った。

阿部 翼 選手 コメント

開幕戦は優勝するつもりで挑んだので2位は悔しい結果ではありますが、シリーズを考えるうえでは、まずまずの順位だと思います。

今回のレースは何といっても、チームが判断したピットタイミングとピット作業の早さがとても素晴らしかった。チーム力をとても感じました。 そして、横溝選手がZの癖の対処方法を分かりやすく教えて下さったりと、ドライバー同士のコミュニケーションが良く取れています。

シリーズタイトルを獲得する為に、1戦1戦一つ一つのことを確実に行なうと同時に、アグレッシブに攻めていく必要があると思います。

岡山は、ウエイトを積んで挑むことになりますが、ウエイトを感じさせない攻めの姿勢で挑んで行きます。

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