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2010 AUTOBACS SUPER GT 第3戦 FUJI GT 400km RACE 報告

■ 2010 SUPER GT 第3戦 参加に際して。

開幕戦の2位と前戦の優勝でシリーズランキングトップでむかえた#46 アップスタート・MOLA Zが今大会搭載しなければならないハンディウェイトは70Kgに達した。 しかも、今大会富士スピードウェイというサーキットはストレートスピードが速いFIA規定の車両が元々有利とされている中で、いかに70Kgという大きなハンディを克服するかがチームの課題でもあった。
 これからの暑い夏の戦いに備え今大会からNISMO製 エアコンシステムが車両には搭載され、ドライバークーリングの確認とハンディウェイトを含む重量バランスの見直しが車両に施され第3戦に持ち込まれた。
 また、今大会のレギュレーションとして400Kmのレース中に2回のドライバー交代が義務付けになった。このため、チームは敏速なピートワークを可能にするためのシミュレーションをいくつか準備していた。

■5月1日(土)公式練習 9:00-10:45

毎回変更になる公式練習の時間帯ではあるが、今回は1時間45分で公式練習が行われた。9:00から横溝選手での車両およびコースコンディションの確認をかねてコースイン。一周でピットに戻る。ここで横溝選手から早くも70Kgのハンディウェイトを重く感じるとコメントを受ける。 モニターで他車のタイム状況を確認しながら、1分45秒台にタイムを上げてくる車両が出てきたのを確認して9時15分頃再び横溝選手はコースイン。コース状況が悪くない事を確認しながら予め準備されていたいくつかのセッティングメニューに入った。
 まだベストセッティングが出ていない状況ではあったが、その中で1’45.342をマークして阿部選手に交代。阿部選手もいくつかのセッティングメニューをこなし中古タイヤながら1’46.077をマーク。公式練習を終えた。
 公式練習の結果は今回初参戦の#25 ZENT PORSCHE RSRが1’43.873でトップタイムをマーク。2番手に#66 triple a Vantage GT2が1’44.145。3番手に#33 HANKOOK PORSCHEが1’44.168。4番手に#9 初音ミクX GSR PORSCHE 5番手に#27 NAC 衛生コム LMP Ferrariと予想通りFIA規定の車両が上位を独占。#46 アップスタート・MOLA Zは14番手となった。

■5月1日(土)公式予選 13:50-14:15(混走) 14:15-14:25(GT300)

1時50分から始まった公式予選。今回はスーパーラップ方式のため、スーパーラップに進出できる上位8台の枠を賭けての予選アタックとなった。
 まずは混走の時間帯に阿部選手が早々と1’46.610をマークして予選通過基準タイムをクリアするとピットに戻り横溝選手に交代する。この際に混走の時間帯ではありながら早くもNEWタイヤを装着した。これはGT300占有の時間帯が10分間しかないために、この10分間中に赤旗中断などが起きてアタックできない事態を防ぐべく混走の時間帯にもアタックさせておきたいというチームの作戦でもあった。
 NEWタイヤを装着してコースインした横溝選手が計測2LAP目に1’45.149をマーク。ピットに戻りあらためてNEWタイヤに交換されてGT300占有の時間帯となった。スーパーラップへの進出を賭けて一斉にGT300車両がコースインしていく中、間合いを取りながらコースインした横溝選手ではあったが中々クリアラップがとれず計測2LAP,3LAP,4LAPとベストタイムを出す事ができないまま時間が過ぎてしまう。そしてチェッカー。#46 アップスタート・MOLA Zは混走中にマークした1’45.149がベストタイムとなった。
 公式予選の結果は#43 Garaiya が1’43.685のトップタイムでスーパーラップ進出を決めた。 2番手に#11 JIMGAINER F430が1’43,886、3番手に#74 COROLLA Axioが1’43.952となり、#46 アップスタート・MOLA Zは混走中の1’45.149で18番手となり、スーパーラップ進出を逃した。
 スーパーラップ 15:30- スーパーラップの結果は1’43.165で#33 HANKOOK PORSCHEがポールポジションを獲得。#25 ZENT PORSCHE が1’43.417で初参戦ながら2番手を獲得。3番手に#74 COROLLA Axio が1’43.428となった。

■ 5月2日(日)フリー走行 8:30-9:00 サーキットサファリ9:10-9:25

決勝日の朝8時30分から30分間で行われるフリー走行。天候は晴天で気温も15℃と暖かく感じるくらいの中、ゴールデンウィーク中という事もあって早くもメインスタンドは観客で埋まり始めていた。 この30分間でレースのシミュレーションを踏まえて中古タイヤで燃料を多く搭載した状態で、まずは阿部選手からコースイン。早い段階からアタックに入り計測4LAP目に1’46.028をマーク。その後横溝選手に代わり確認をした後にタイヤ交換。同じく中古タイヤではあるものの1’45.719をマークした。 その後15分間で行われたサーキットサファリの時間帯も、タイヤの摩耗状況の確認のためとレース用のブレーキの焼き入れのために阿部選手で走行を続け1’45.98をマークして朝の走行は終了となった。
 フリー走行の結果は#26 CINE CITTA’タイサンポルシェが1’44.925でトップタイムをマーク。2番手に#2 紫電が1’45.362。3番手に#19 ウェッズスポーツ IS350が1’45.407。#46 アップスタート・MOLA Zは1’45.719で11番手のタイムとなった。

■ 決勝レース 14:00- 88LAP

一面青空の晴天により気温21℃、路面温度32℃にまで上がったコンディションの中88LAP 400Kmで決勝レースは行われた。朝のフリー走行が終わってからレースまでの短い時間ではあるが我々はレース戦略をいくつか想定していた。それは、気温が想定されていたよりも高くなり始めている中で、他の車両が2回の義務付けのピットインをどのように使ってくるかわからないからである。しかも、レースまでのどのセッションを見ても上位の車両がバラバラでどのようなレース展開になるのか想像がつかない中、我々はいかなるレース展開になってもいいように戦略を臨機応変に備えていた。スターティンググリッドについてからもチーム内での綿密な打ち合わせは行われた。
 第3戦のスタートを担当するのは前回同様に横溝選手。第1戦、第2戦とは景色の違うスタートポジションに戸惑いを見せる横溝選手ではあったが、反面で早い段階でポジションを上げる闘志をみなぎらせていた。フォーメーションラップがスタートして横溝選手はタイヤに熱を入れるべく右に左に車両を揺すりながら1周した後14時00分FUJI GT 400Km RACEのスタートが切られた。 18番手からのスタートを切った#46 アップスタート・MOLA Zは綺麗なスタートを切り横溝選手は1周目からプッシュ。1周目から義務付けのピット作業を行うチームがいたりする中16番手で1周目を終えた。
 トップを走る#25 ZENT PORSCHEが1分45秒台でレースを引っ張る形になり、先頭集団に離されてしまう前にストレートスピードだけが速い車両達に囲まれた#46 アップスタート・MOLA Zは早い段階でポジションを上げておきたかった。
 横溝選手は第2戦とは変わって混雑する集団の中、前の車両よりもっと前の車両をターゲットにして14LAP目には12番手までポジションを上げていた。20LAP辺りから周りのチームが動き出した。18LAPに#5がタイヤ4本交換+給油+ドライバー交代。22LAPに#2がタイヤ交換無しの給油+ドライバー交代。#33 がタイヤ交換無しの給油+ドライバー交代。23LAPに#19 がタイヤ4本交換+給油+ドライバー交代。24LAPに#11がタイヤ4本交換+給油+ドライバー交代。やはり各チーム戦略はバラバラであった。
 その頃トップ集団の#25.#66.#74は相変わらず1分45秒後半から46秒台でレースを引っ張っている中、我々#46 アップスタート・MOLA Zのラップタイムは1分47秒台まで落ち込み、高めになった路温と重いハンディウェイトにタイヤは苦しみ始めていた。
 この時点で我々は最初のピットインはタイヤ4本交換+給油+ドライバー交代という策に決定、第2スティントを阿部選手で出来るだけ長くプッシュさせる事にした。
 あとは一回目のピットインのタイミングを見図りながら29LAPでピットインするように横溝選手に指示が出された。想定していた我々のピットストップタイムは25秒であった。しかしピットに戻ってきた車両のタイヤ交換時にトラブルが発生。すべての作業が終了するのに要した時間は40秒。阿部選手がコースインした時点でのポジションは、まだピット作業が終わっていない車両が多数ではあったが15番手となっていた。後半タイヤを交換しないでレースをする車両が出てくるであろうと予想をした阿部選手は、タイヤを労りながら1分47秒前半にセーブしながら走行を重ねる。
 35LAPから50LAPに大半のピット作業が済み#46 アップスタート・MOLA Zのポジションは10番手。しかしすでに2回の義務付けのピットインを済ませているチームもあり、ポジションは未だ未確定な状態ではあった。この時点でのトップは#74 COROLLA Axio、3秒後ろに2番手#43 Garaiya、さらに25秒後ろに#66 triple a Vantageが3番手。先頭車両達は1分45秒から46秒で周回数を重ねていた。
 55LAP辺りから阿部選手に第2スティントの残り周回数が告げられ、阿部選手もタイムを1分46秒台に入れラストスパート。62LAPにピットインの指示が出された。第2スティントのタイヤの状況から、2回目のピットインもタイヤ4本交換+給油+ドライバー交代を決定。今度はすべての作業を25秒で済ませて横溝選手はコースに復帰した。まだ冷えているタイヤに熱を入れながらの走行をする横溝選手のこの時点でのポジションは12番手。しかしタイヤが温まってきた64LAP目にGT300のトップ争いをしている#74 CAROLLA Axioと#43 Garaiyaのアウトラップに出会ってしまう。しかも戦略上この2台はタイヤ交換を行っておらず、タイヤ交換を行って温まった状態の横溝選手には邪魔な存在になってしまった。また、GT300のトップ争いという事もあり、無理に割り込むわけにもいかずトップ車両達と同等の1分46秒台で周回を重ねる。
 10番手走行中の#7 雨宮RX-7は70LAPを過ぎた辺りからタイムが1分48秒から49秒台へと急激に落ち始め、逆に11番手走行中の#26 CINE CITTA’タイサンポルシェが1分45秒台で猛追。79LAPにポジションを上げる事に成功。#46 アップスタート・MOLA Zの横溝選手にもこの事は伝えられていたが、テールトゥノーズにまでなりながらも順位に変動はなく自身の80LAPポジション12番手でチェッカーを受けた。

FUJI 400Km RACEを制したのはSUPER GT参戦初勝利となる#74 CAROLLA Axio、テールトゥノーズまで追い上げながらも2番手となったのは#43 Garaiya、3番手に#66 triple a Vantageが初表彰台となった。終わってみれば2回のピットインを1回のタイヤ交換で走り切った車両が表彰台を独占する形となった。

横溝 直輝 選手コメント

今回は多くのファンの皆様の前で結果を残す事が出来ず、申し訳ない気持ちでいっぱいです。 今回は70Kgのハンディウェイトに苦しめられたレースウィークとなりましたが、セッション毎にマシンは確実に速くなっていきましたし、今後のレースに向けて貴重なデーターを得る事ができました。 次戦はZとも相性の良いサーキット(セパン・インターナショナル・サーキット)なので、絶対に良い結果を残し中盤戦以降に弾みをつけたいと思います。

阿部 翼 選手 コメント

70Kgのハンディウェイトを積んで挑むレースは自分自身初めての体験で、ここまで重たさを感じるとは思っていなかったです。 しかし、ハンディウェイトを70Kg搭載した状態でのマシンのセッティング、タイヤ、などに対して色々なデーターの収穫があるレースウィークになりました。 レース結果には悔しさが残りますが、この悔しさを第4戦のセパンにぶつけていきたいと思っています。

大駅 俊臣 監督 コメント

今回は予想通り厳しい戦いとなりましたが、70kgハンディウエイト搭載であることを考えると車両バランスは非常に良い状態でした。ドライバーも重たい車を上手くコントロールしていたと思います。しかし結果的にノ―ポイントでレースを終えてしまったことは、チャンピオンシップを考えると非常に残念な結果となってしまいました。 しかし今回のレースで我々の車両が70kgハンディウエイト搭載した状態でも十分戦えるスピードがあることの確実な手ごたえを感じることができました。 次戦セパンは後半戦に向け非常に大切なポイントとなります。良い結果を出せる様にしっかり準備をして挑みたいと思います。

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