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2010 AUTOBACS SUPER GT 第2戦 OKAYAMA GT 300km RACE 報告

■ 2010 SUPER GT 第2戦 参加に際して。

前戦の開幕戦を見事2位でフィニッシュした#46 アップスタート・MOLA Zは今回ハンディウエイトとして30Kgを搭載しなければならなくなっていた。
 しかも、開幕戦が終わってから2週間後に早くも第2戦を迎えるとあってドライバー、監督を始めチーム員一同喜んでいる暇もなく、いい緊張感を保ったまま第2戦を迎えた。 車両のベースセッティングには大きな変更はされていないが、セッション中に行う事になるテストメニューを敏速にこなすべく準備を行い岡山に持ち込まれた。

■4月3日(土)公式練習/公式予選

今回より、土曜日午前中の練習走行時間が前回の2時間40分から1時間のセッションが2回と変更になり、その中でロングランテストや予選用セッティング、レース用セッティングなど、同条件下でいくつかのテストメニューをこなすということが困難になった。
 8時20分から9時20分の1時間で行われた公式練習1回目。まずは横溝直輝選手がコースの状況を確認するためにコースイン。アウトインでピットに戻る。気温がまだ5℃と低いせいもありコースコンディションはあまり良くないためにしばらくピットで待機しながら他車のタイムをモニターで確認していた。
 8時47分再びコースインした横溝選手は5LAP目に1:32.709をマーク。その後いくつか準備されていたセット変更をテストして阿部翼選手に代わりセット変更された車両の確認を行った。その状態で数周連続走行をした阿部選手は1:35.370をマーク。公式練習1回目は横溝選手が早々にマークした1:32,709のタイムにより3番手で終えた。
 短いインターバルの後、10時15分から11時15分の1時間で行われた公式練習の2回目。横溝選手によりまたいくつかのセッティング変更をテストしながら一番いいセッティングを探し出していた。そして阿部選手による確認も終え、残り時間約15分というところでNEWタイヤを装着した阿部選手。まだ気温も10℃にしか上がっていないコース上でのタイヤの温まりは悪く、3LAP後に出した1:32.986というタイムをベストとして横溝選手に交代。横溝選手も1:34,231というタイムを出したところで公式練習の2回目を終えた。
 気温は1回目より上がっているにも関わらず、それほどコースコンディションは良くなっていなかった事により他車もタイムを伸ばしていなく、阿部選手がマークした1;32.986で公式練習2回目は4番手で終える事となった。
 12時55分から行われた公式予選1回目。今大会の公式予選2回目も前回同様ノックダウン方式になっているため事実上公式予選1回目は両ドライバーの予選通過基準タイムをクリアするためのセッションでもあった。
 まず阿部選手が中古タイヤながら1:33.510というタイムを出して4番手で予選通過。続いて横溝選手がそのまま継続のタイヤで1:33.944のタイムを出し予選通過。しかし、そのまま残った時間でセッティング変更をして、この後のノックダウンに備えた。
 15時10分から行われたノックダウン方式の公式予選2回目。まずは10分間で行われるセッション1で上位16台がセッション2に進出できる事になっている。セッション1を担当したのは前回とは変わって横溝選手。New タイヤを装着して他車との間合いを取る為に若干間隔を明けてコースインした横溝選手は1:32.278というタイムを叩き出し2番手でセッション2への進出を決めた。
 15時48分から10分間で行われたノックダウンのセッション2を担当したのは阿部選手。このセッション2で上位10台が最後のセッション3への進出が許される事になっている。阿部選手は同じくNew タイヤを装着して間隔を明けながらコースインして1:32.108とセッション1で横溝選手が出したタイムを0.1秒以上縮めるタイムを叩き出しながらも他車は31秒台に入れてきており辛くも9番手でセッション3への進出を決めた。
 このセッション1でのトップタイムは#86 JLOCがマークした1:31.173というタイムであった。また、前回の開幕戦でポールtoフィニッシュを決めた#7 雨宮RX-7は1:32.321の11番手で脱落、同じNISSAN Zを使用する#3 HASEMI Zは1:32.496の12番手で同じく脱落となった。
 16時12分から7分間で行われたノックダウンのセッション3。これがノックダウン最後のセッションでありこのセッション3は横溝選手の手に委ねられた。New タイヤを装着して7分間しかない事もあり横溝選手は少し早めにコースイン。計測2LAP目に1:31.896というタイムを出しラスト1周のアタックに入っていった。
 まだ諦めずにアタックを続ける横溝選手だったが1:32.125とタイムを上げる事は出来ずに公式予選を終えた。

 公式予選の結果は#86 JLOCランボルギーニが1:31.341で初のポールポジションを獲得。我々#46 アップスタート・MOLA Zは横溝選手が計測2LAP目にマークした1:31.896で見事2番手を獲得。#31 apr COROLLA Axioが1:32.136で3番手につけた。

■ 4月4日(日)フリー走行

決勝日の朝9時00分から45分間で行われるフリー走行。
天気は晴天ではあるが前夜から冷え込みが続いていたせいで気温はまだ9℃と低く、日陰にはまだ氷や霜が残っていた。

 コースコンディションはあまり良くない中まずは阿部選手がコースイン。しかしアウトインでピットに戻りピットワークのシミュレーションを行う。タイヤを4本交換する練習をしながらドライバーは横溝選手へと交代。すばやくコースに出て行った。
 中古のドライタイヤで再びコースに戻った横溝選手はその後約10LAPの連続走行を行い1:33.322というタイムを出しながらレースに向けてのセッティングの確認を行った。残り20分辺りのところでドライバーを阿部選手へと交代して再び約10LAPの連続走行を行い中古タイヤでレースに向けての車両バランスを確認。中古タイヤながら1:34.982というタイムを出したところで決勝日の朝のフリー走行を終えた

。中古タイヤながら横溝選手がマークした1:33.322というタイムで2番手にて朝のフリー走行を終えた。

■ 決勝レース

天候は一面青空の晴天により気温17℃、路面温度28℃にまで上がったコンディションの中82LAP 300Kmで決勝レースは行われた。

 朝のフリー走行が終わってからレースまでの短い時間ではあるが我々はレース戦略を少し悩んでいた。それは、気温が低めに想定され、タイヤ無交換作戦を取ってくるチームが多いという情報が入ったからである。しかし、我々は予選での速さ、朝のフリー走行でのバランスの良さ、ピットワークの早さ、などから、タイヤを4本交換するスタンダードのピットストップで我々が持っているすべての力を出し切れば最良の結果が出ると結論を出しスターティンググリッドに並んでいた。

 第2戦のスタートを担当するのは前回とは変わって横溝選手。フロントローに並んだスタートポジションに笑顔を見せとてもリラックスしている様子の横溝選手であった。フォーメーションラップがスタートして横溝選手はタイヤに熱を入れるべく右に左に車両を揺すりながら1周した後14時00分OKAYAMA GT 300Kmのスタートが切られた。
 2番手からのスタートを切った#46 アップスタート・MOLA Zは綺麗なスタートを切り、2番手のポジションをキープ。その他にも大きな順位に変動はなく1周目を終えた。
 ポールポジションからスタートした#86 JLOC ランボルギーニは34秒台前半から後半のタイムで走行を続け、2番手である我々#46 アップスタート・MOLA Zを引き離しにかかっている。
 我々#46 アップスタート・MOLA Zは34秒後半から35秒前半での走行ではあったが想定していたタイムではあった。トップと二番手の車両に少しずつ差を広げられる形となっている3番手の#31 apr COROLLAは35秒後半から36秒台。
 タイムが上がらない#31の後ろに#19,#7,#43,#3,#88,#2と9番手までが団子状態。我々にとってはいいレース展開になっていた。しかし、16LAP目、4番手、5番手を走行していた#19 ウェッズスポーツと#7 雨宮RX-7が#31 apr COROLLAをかわして3番手、4番手に浮上。その後35秒中盤から36秒前半のタイムで2番手走行中の我々#46 アップスタート・MOLA Zを追いつめる。勢いに乗る#7 雨宮RX-7はこの時点で6秒あった2番手の#46 アップスタート・MOLA Zとの差もみるみる縮めテールトゥノーズ状態になるも順位に変動はなくレースは進んだ。
 その後まず動いたのは31LAPで7番手走行中だった#43 ARTA ガライヤはタイヤ4本交換の作業を終わらせて34秒でピットアウト。翌32LAPには4番手走行中だった#19 ウェッズスポーツ IS350がピットイン。タイヤ交換無しの約20秒でピットアウト。これによって7番手に上がった#3 HASEMI Zが36LAPに左側だけタイヤ交換を行い24秒でピットアウト。翌37LAPにはトップを走行していた#86 JLOC ランボルギーニがピットイン。しかしピットストップに57秒かかりピットアウト。すでにピット作業を終えている#3 HASEMI Z の後ろにコースインする事になった。
 このピットインにより35LAP目に#46 アップスタート・MOLA Zをかわしていた#7 雨宮RX-7がトップ。ただ1台35秒前半から中盤で走行を続けている。一方36秒中盤で走行を重ねている#46 アップスタート・MOLA Zはピットインのタイミングを悩んでいた。逃げている#7 雨宮RX-7はタイヤ無交換でくるのは間違いない。後半絶対にタイムは落ちるはず。しかもすでにピット作業を終えている車両でタイヤを交換した車両は少なく我々と変わらないラップタイムで走行している。車のバランスは悪くない。ピットに入れてタイヤを変えるべきか、このままもう少し横溝選手での走行を引っ張るべきか。
 38LAP目GT500の車両にラップされようとしていたのをきっかけに大駅監督は急遽ピットインを決断した。無線で横溝選手にその旨が告げられる。ピットに戻ってきた#46 アップスタート・MOLA Zは予定通り給油とタイヤ4本交換、ドライバーは阿部選手に交代して28秒で作業を終わらせ、ピットアウト。#46 アップスタート・MOLA Zはピット作業を終えている車両の中では最上位の5番手でのコース復帰となった。
 その後もトップを走行していた#7 雨宮RX-7は43LAPでピットイン。やはりタイヤ無交換作戦をとり約30秒でピットアウト。我々#46 アップスタート・MOLA Zの約10秒前にコース復帰した。

 45LAP目トップを走行しているのはまだピット作業を行っていない#33 HANKOOK PORSCH、2番手にこちらもまだピット作業を行っていない#2 紫電、3番手にタイヤ無交換の#7 雨宮RX-7、約10秒離れて4番手我々#46 アップスタート・MOLA Zの順になっていた。
 46LAP目、4番手を走行していた#19 ウェッズスポーツ IS350は他車との接触によりヘアピンコーナーでコースアウト、これで戦線離脱となった。
 49LAPトップを走行していた#33 HANKOOK PORSCHと2番手を走行していた#2 紫電が同時にピットイン。2台ともタイヤ無交換作戦で我々#46 アップスタート・MOLA Zの後ろでコースイン。50LAP目、これでトップは#7 雨宮RX-7、5秒後ろに2番手#46 アップスタート・MOLA Z、さらに8秒後ろに3番手#2 紫電となった。
 タイヤ交換をしていないトップ#7 雨宮RX-7のラップタイムは36秒台中盤、一方タイヤを交換した#46 アップスタート・MOLA Zの阿部選手は35秒中盤から後半で走行を重ねている。1周ごとに0.5秒以上差を詰める阿部選手がトップの車両に追いつくのは歴然であった。
 54LAP目にはその差は3秒となり、逆に3番手とのタイムを15秒差に広げた#46 アップスタート・MOLA Zの阿部選手。無線でもトップに追いつくペースで走行している事は伝えられた。

  そんな55LAP目。トップを走行していた#7 雨宮RX-7がハイパーコーナーでいきなりコースを飛び出してスポンジバリアに激突。この瞬間トップに立ったのは我々#46 アップスタート・MOLA Zであった。
 その後も阿部選手はリズムを崩す事なく36秒台で走行を重ね、無理をする事なくしかも2番手との差を広げながら#46 アップスタート・MOLA Zは今期初となるGT300クラストップでチェッカーを受けた。

終わってみれば2番手との差は25秒も開き、我々のとったレース戦略も間違いではなかった事を裏付けていた。

優勝は#46 アップスタート・MOLA Zが終始安定した速さで2番手と大差で今期初勝利。前回の2番手に続き連続で表彰台に上がった。 2番手には#2 紫電がタイヤ無交換によりピット作業時間の短縮に成功。ルーキー濱口選手も交換されていないタイヤで確実に走行して今期初表彰台となった。 3番手には予選12番手から着実に順位を上げ、後半壮絶な3番手争いを制した#3 HASEMI Z が入った。

横溝 直輝 選手コメント

前回の二位で30Kgのハンディウェイトがありながら、今回は前回以上にポテンシャルの高いマシンをチームが準備していただいたおかげで今季初優勝をすることができました。 また、横浜タイヤさんが今回のレースに用意していただいたタイヤも僕たちの勝利を後押ししてくれました。

この優勝でシリーズポイントリーダーとなり、次回は70Kgのハンディウェイトを積むことになり、今後は更にプレッシャーのかかる厳しい戦いとなると思います。 これからは、ドライバー、チーム、応援者の方たちと更にひとつにまとまって、 全員でチャンピオン獲得に向けていきたいと思います。

阿部 翼 選手 コメント

開幕戦で2位に入り30キロを積んで挑んだRd2の岡山でしたので、優勝というよりも表彰台を目標に取り組んでいたので、優勝できたことに驚きと感動でした。

タイヤ無交換を行う予定のチームが多いなか、4本交換を選択したことに本当に良かったし、開幕戦同様にピット作業が早かったこと、横溝選手が3位でバトンを渡して下さったこと、全ての流れが良かった。

私自身も安定したラップタイムを刻むことができ、後方に大きなマージンを築くことができたので、良いレースができたと思います。 残り6戦もあるので、引き続きチーム一丸になり最大限の力を発揮し戦っていきたいです。

大駅 俊臣 監督 コメント

まずは監督としての初優勝を素直に喜びたいと思います。また、サポートしてくださっているスポンサー皆様方に心から感謝したいと思います。本当にありがとうございます。

とにかく今回はドライバー、メカニック全てのスタッフが素晴らしい仕事をしてくれました。特にドライバーの二人が自分たちの仕事を完璧にこなしてくれたことが一番の勝因だと思っております。

この早い段階で優勝できたことがこの二人のドライバーパッケージをさらに強いドライバーパッケージに進化させてくれると確信しています。ハンディウエイト70kgと重くなるこれからが本当の戦いとなります。今後は進化したドライバーパッケージとチーム力を最大の武器にシリーズチャンピオン目指し戦っていきたいと思っております。今後ともご声援よろしくお願いいたします。

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